令和8年3月14日。
先日、会社印の注文を受けた際に、社長様から頂いた言葉です。貴社はいい仕事をするから。とか、近くのハンコ屋だから来ました。なら時々聞いていましたが、
ここの印鑑は、縁起がいい。初めて聞きました。値段の交渉はなく、6本の会社印の注文をいただきました。
その後、印鑑が仕上がり受け取りに来た方は、注文時の社長様の上司らしくとても威厳ある印象の落ち着いた人でした。名刺をいただき、東京の住所。
東京にも多くの印章店はあるのにとは思いましたが、上司様の話を聞いていて、印鑑の重要性を認識した上で、印鑑を作成しているんだなと、感じました。
会話をしていても、お世辞はなく、淡々と話している姿が印象的でした。注文時の社長様が言っていた。前に印鑑を作ってもらいました。何処からの受け売りや紹介ではなく、実際に使用した経験があっての、今回の注文なのだということでしょう。
実体験があっての感想として、縁起がいいという言葉になったんだと、私なりに理解しました。
売り手側として、商売の差別化や特徴を伝えるために、使われる縁起の良いがあります。同じ印章を彫る立場としては、文字のバランスを第一に彫りを大切にしてほしいと願うばかりです。
商売の入り口として、縁起の良い書体として印相体を薦めています。職人ならば、次に行うことは、印相体をより魅力ある文字になるように努力してゆきます。現状は次の部分が欠落している。
日本全国には、優秀な技能者職人はいます。高齢がゆえに、繋がってゆきにくい。若い世代の職人を育てることは、喫緊の課題であり、魅力ある文字に取り組めるような指導者が求められている。
令和8年3月19日。
とても高価な印材で、販売するためと言うより、日輪と呼ばれる輪の部分が綺麗ではっきりしているので、思わず仕入れてしまったのが、2年位前。
お客様に、目の保養と言っては、見せていました。価格は20万近いので、あくまで、目の保養が目的。
今年になって、売れてしまいました。本当に有り難いこと、同時に、象牙の横目は今までに何本も彫ってきた経験での大変さを思い出しました。
芯持ちの横目は、より高価な印材なので。
先日、印鑑をお客様に無事、お渡しすることが出来ました。彫刻作業ではじめて、2段階彫刻をすることでやり遂げることができました。
2段階彫刻とは、荒彫りの後の仕上げ作業で、1回で目的の太さへ仕上げることはしないで、薄く仕上げ刀を入れる。押刀でダメなら、引き刀を試す。その辺を見極めてから、次に目的の太さ線質に仕上げていく。とにかく時間をかけました。
失敗例としては、普通に枠を仕上げていると、突然枠が欠けることがある。20代で初めて横目を彫った時のこと、当然ながら新しい材料で彫り直しました。
今回の材料は、特徴的な目もあり、やり直しは出来ない分、より慎重になりました。サイトで同じサイズの横目芯持ちの印鑑は35万で売られていました。いい仕事やるなら妥当な価格かもしれません。

先日、仕入れた補充の象牙横目芯持ち印材。目の印象は前の方が少しはっきりいていたような、感じがしますが、とにかく高価です。
令和8年3月19日。
当店では、印相体の代わりに独自で創作した書体が、万畳篆になります。元は中国の明・清時代の官印を参考にしており、篆書体で「九畳篆」と呼ばれます。
全体に均一な空きが特徴で押しの強い印象の印影になります。文字デザインには、どうしても多くの時間を要すため、他の書体に比べて、価格は高くなります。
今の時代、印相印も文字フォントがあり、文字を学び書くという長年の蓄積なしに、縁起の良い書体を売り言葉に、自動彫刻機で彫り安く販売している現状を見ると、今後の技術者職人は、より一層、魅力的な印鑑を提供する覚悟が求められます。